新型コロナ関連融資 据置期間の解説

新型コロナ関連融資の特徴のひとつは「最大5年間の据置期間」があること。据置期間のメリット・デメリット、据置期間あり・なしの場合の返済シミュレーションなどを解説しました。

据置期間とは?

据置期間とは、融資を受けた元金を返済しなくてもいい期間のことです。据置期間の間は、利息だけ支払います。さらに、新型コロナ関連融資の「実質無利子」になる制度の要件も満たせば、当初3年間は利子負担もありません。

据置期間のメリット

据置期間のメリットは、元金の返済がないため当面の資金繰りが楽になることです。

据置期間のデメリット

据置期間ありのデメリットは、据置期間がない場合よりも返済総額が大きくなることです。さらに、据置期間とは返済を先延ばしにすることなので、据置期間終了後の毎月の返済負担も大きくなります。

シミュレーション

  • 借入額3,000万円
  • 利率1.5%
  • 返済期間10年
  • 返済方法:元金均等返済
  • 当初3年間実質無利子の要件を満たしている

という前提で、据置期間がない場合と、据置期間が5年の場合のシミュレーションしました。

据置期間なし 据置期間あり
元金返済額 利息 合計 元金返済額 利息 合計
1~3年目 9,000,000 0 9,000,000 0 0 0
4~5年目 6,000,000 543,746 6,543,746 0 450,000 450,000
6~10年目 15,000,000 571,890 15,571,890 30,000,000 1,143,750 31,593,750
合計 30,000,000 1,115,646 31,115,646 30,000,000 1,143,750 31,593,750

据置期間ありの場合のポイントは、

  • 1~3年目の返済負担は実質0円で、資金繰りが楽になる。
  • しかし、据置期間ない場合より返済総額が約47万円多い。
  • さらに、6年目(据置期間終了後)の月々の返済負担が重くなる。

ということです。

新型コロナ関連融資は、低利子で実質無利子となる利子補給制度もあるため支払い総額はそれほど大きく変わりません。しかし、据置期間終了後の返済負担には注意が必要です。シミュレーションの条件の6年目以降の毎月の元金返済額は、据置期間なしでは25万円、据置期間ありでは50万円です。据置期間終了後に業績が回復していないと非常に厳しい状況になります。

据置期間を含めた返済のシミュレーションには、日本政策金融公庫の「事業資金用 返済シミュレーション」が役立ちます。借入希望額や据置期間などの条件を入力すると返済総額などを資産できます。

まとめ

据置期間が長いほど当面の資金繰りは楽になるが、据置期間が終わったあとの負担が大きくなる。メリットばかりではないことに注意。