小規模事業者持続化補助金(2020年/令和2年)の記入例と書き方の解説

小規模事業者持続化補助金(一般型)の申請書のなかで、苦労する事業者さんが多い「様式1-2」(経営計画と補助事業計画の書類)の記入例と書き方のポイントを解説しました。

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このページの概要

小規模事業者持続化補助金の事務局ウェブサイトの記入例にある海鮮居酒屋をモチーフにして、「もし同じ海鮮居酒屋が小規模事業者補助金でホームページをつくることにしていたら?」というテーマで、様式1-2の経営計画と補助事業計画について、記入例と書き方のポイントを説明しています。まだ事務局ウェブサイトの記入例を読んでいない方は先に確認してください。

事務局ウェブサイトの記入例を読んでいない方向け
コロナ特別対応型の記入例はこちら
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経営計画

1.企業概要

○自社の概要・沿革
  • 当社は1985年に設立された海鮮居酒屋である。
  • 設立以来「地元の新鮮な魚介類を美味しく味わっていただくこと」を理念として営業している。
  • 代表者の持続化太郎は、○○漁港近くの食堂や旅館で料理人として経験を積んだ後、当地で海鮮居酒屋を設立した。
  • 後継者にあたる持続化清は、調理師学校を卒業後にレストラン○○と割烹○○の勤務を経て2016年に当社に入社した。現在の役職は専務取締役である。
○店舗の基本情報
  • 営業日は週6日(定休日は月曜日)、営業時間は11時~14時、18時~23時である。
  • 人員体制は、厨房2人、接客2名(3人がシフト制)である。
  • 店舗は国道○号沿いに立地、駐車場は20台分のスペースがある。
  • 店舗面積は約30坪、席数は50席である。
  • 従業員とお客様の健康のために、平成30年4月より全時間帯禁煙としている。
○商品の売上と利益の状況
  • 地元の漁港でとれた新鮮な魚介類を使ったメニューを提供している。
  • 売上内訳は図表1-1の通りである。売上の内訳は、全体の60%が周辺に立地する企業の従業員が訪れるランチ(単価平均900円)、残りの20%ずつが6人以上による宴会と5人以下の少人数による夕食となっている(図表1)。なお、売上がもっとも多い日替わり弁当の例は図表2である。
  • 前年度の営業利益率は9.4%である。
図表1
売上総額の大きい商品 利益総額の大きい商品
1位 日替わり弁当 ○万円 ビール ○万円
2位 まぐろ丼 ○万円 特上にぎり ○万円
3位 にぎり ○万円 にぎり ○万円
4位 ビール ○万円 日替わり弁当 ○万円
5位 特上にぎり ○万円 まぐろ丼 ○万円
図表2
補足
  • 企業概要は、小規模事業者持続化補助金の審査員に対する自己紹介です。あなたの会社のことが簡潔に伝わるようにします。
  • 経営者(事業承継にあたる場合は後継者も)の経歴にも簡単に触れてください。
  • この項目に限らず申請書は写真や図を添付してもOKです。審査員にイメージを伝えやすいときは積極的に活用してください。
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2.顧客ニーズと市場の動向

○顧客ニーズ
  • 平日のランチの時間帯は、会社の昼休みに利用する顧客が多いことから近場でランチを済ませたいというニーズが中心である。一方で、ランチでも健康に配慮した食事を摂りたいというニーズを持つ顧客が増えている。
  • 夕食の時間帯は、宴会用途と少人数の夕食用途のニーズがある。国道沿いという立地上、車での来店が多くアルコールを飲まない顧客が約80%を占める。そのため、一般的な居酒屋よりも料理の質にこだわりたいというニーズを持つ顧客が多い。
○取引先ニーズ
  • 主要取引である漁港の漁師には、日本国内の魚介類消費額が減少傾向(後述)にあるなかで、新鮮な魚介類を多くの人に味わってもらいというニーズがある。
補足
  • 顧客ニーズには、「ニーズがあることは認識しているが明確な対応ができていないこと」も記載します。
  • このような「現状では対応できていないニーズ」に対して、小規模事業者持続化補助金を活用した事業を行います。この記入例の場合なら、「自社の新鮮な魚介類を使った料理は、健康志向や料理への質にこだわる顧客ニーズに応えるものであるが、情報発信が不十分で認知されていないのでホームページの活用で魅力を伝える」というストーリーになります。
○市場全体の動向
  • 水産庁の水産白書によると、年間1人当たりの魚介類品目別家計消費は2007年と2017年を比較すると生鮮魚介類の合計で32.4%減少している。2017年の1人あたり消費額は8,265円にとどまっている。
  • 日本フードサービス協会の外食産業市場規模推計の推移によると、居酒屋の市場規模はここ10年ほど横ばいとなっている。
  • RESASによると、当社が所在する○○市の老齢人口の割合は2015年時点で26.5%、2040年の予想は40.5%であり、継続的に少子高齢化が進展すると見込まれる。
補足
  • 市場全体の動向の説明には公的な統計データが活用しやすいです。「あなたの関係する業種+推移や統計」などのキーワードでGoogle検索すると見つかりやすいです。
  • 記述する際は「○○によると」などとデータの出典を明記しましょう。
  • 募集要領の59ページではRESAS という国が運営する地域経済分析システムが紹介されています。他に国が運営する統計サイトのe-Stat を活用すると、詳細な商圏分析が可能になります。時間に余裕があればこれらを使用したデータを活用してもよいです。※小規模事業者持続化補助金の申請では、詳細な市場の分析が求められているわけではありません。
○競合他社の状況
  • 平日のランチでは、ラーメン店1店舗(単価600円程度)とファミレス1店舗(単価800円程度)が競合店となる。両店ともに12時~13時には満席で行列ができている。
  • 夕食では、上記の2店舗に加え、2017年3月に約2km先に開店したチェーン店の「回転寿司A」が競合店となる。
補足
  • 実際には競合他社の名前は実名で記載してください。
  • 競合店が一定数以上の場合は、競合店舗名、自店舗からの距離、価格帯、客層などを表にするとわかりやすいです。
  • ここでの競合とは「顕在化している類似業種の競合」を記載しましょう。例えば、海鮮居酒屋のランチなら、業種としては異なるコンビニのお弁当とも競合します。広く考えてすべて書いていくと申請書としては内容がぼやけます。あなたが直接競合していると考える競争相手や補助事業によって対抗しようとする競争相手を書いてください。
○顧客層の増減
  • 平日のランチの時間帯は、当社の近くに立地する企業に勤務する顧客が中心であるため大きな増減はなく推移している。
  • 夕食の時間帯は、2017年3月に回転寿司Aが開店してから客数が減少しており、売上が20%程度減少している。また、少子高齢化の影響もあり、10年前は50名ほどいた常連客は10名程度になっている。
  • 直近では新型コロナウイルス感染症の影響による企業の在宅勤務や消費者の外出自粛により、いずれの時間帯でも来店数が減少している。
補足
  • 新型コロナウイルス感染症については、「4.経営方針・目標と今後のプラン」でも記載しますが、感染症の影響によって明確に減少している顧客層がある場合などはここにも記載してください。
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3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み

  • 当社は、約10km先の漁港の漁師4名と専売契約を結んでいる。それにより、その日の朝にとれた鮮度の高いネタを刺身・寿司として提供できる。
  • 調理を担当する代表と専務は料理人としての経験が豊富であり、鮮度の高いネタの良さを引き出す料理を提供できる。
  • これらの鮮度の高いネタや料理人の経験は、競合店であるファミレスや回転寿司よりも優れていると考えられる。
  • 実際に料理の質や味については外部の評価が高く、2016年には雑誌○○に「○○県の名店 100選」として取り上げられたこともある。
補足
  • 事務局の記入例では、「鮮度の高いネタ」が中心でしたが、多面的な視点から強みを考えることも大切です。
  • ここでの強みとは日本有数というレベルではなく、競合店と比較したときに優位性があることでOKです。あまり謙虚になり過ぎる必要はありません。
  • もし思いつかないときは、最近のお客様を想像して「なぜあの人はウチで買ってくれたのか?」を想像して理由を書き出してみましょう。そのなかには、あなたの強みが隠れているはずです。
  • 記入例のようにメディアに掲載された実績などは強みの証拠として記述してください。思い当たることがないときは、インターネット上の口コミや実際にお客様から言われた言葉を引用して記述してください。
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4.経営方針・目標と今後のプラン

○経営方針
  • 以前から評価をいただいている料理の質や味の良さについて、これからは当社からも情報発信を行っていく。地元の漁港でとれる新鮮な魚介類を、さらに多くの人に味わっていただくことで、自社・顧客・仕入先(漁港の漁師など)の三方よしの経営を実現する。
○目標
  • 定量的な目標は、202×年の決算期までに、来店客数は○%、客単価○%の増加を図ることである(図表3)
図表3
直近 2020年○月度 2020年○月度
ランチの時間帯 ○○円 ○○円 ○○円
夕食の時間帯 ○○円 ○○円 ○○円
  • 定性的な目標は、「会社から近いから」「国道沿いの看板を見たから」ではなく、料理に魅力があるから当社に行きたいという顧客を増やし、「○○市で美味しい魚料理を食べるなら当社」といわれるポジションになることである。
補足
  • 目標は、数字であらわせる定量的な目標と、数字ではあらせない定性的な目標に分けると記述しやすいです。
○今後のプラン
  • これまでは国道沿いという立地や近隣に企業が多いことから、ほとんど広告をしなくても来店があった。しかし、今後の売上の拡大や料理の魅力を伝えるには、当社からの積極的な情報発信が必要であると考えている。そこで、2020年○月までに当社のホームページを開設する。
  • これまでは一度来店した顧客と接点をもつ方法がなかった。そのため、「その日の朝にとれた新鮮な魚」などの情報を伝えることができずにいた。今後は、ホームページ開設にあわせてSNS(TwitterとInstagram)とチャットアプリ(LINE公式アカウント)の運用をはじめて顧客との接点をもてるようにする。
  • 当社の近隣エリアにも、当店の存在を認知していない顧客層が一定数存在すると考えられる。そこで、ホームページの開設にあわせて当社から半径3km圏内に○○○部のポスティングを行う。
○新型コロナウイルス感染症に関連した事項
  • 当社では新型コロナウイルス感染症によるテレワーク推進や外出自粛等の影響を受けて、2020年2月売上が前年同月比で25.5%減少している。
  • 今後は、ホームページの活用により当社の強みを発信することで、売上回復を図り事業再建に取組む。
補足
  • 新型コロナウイルス感染症による定量的な売上減少等の影響を記載します。売上減少の認定書かセーフティネット保証4号の書類と同じ比較期間の数字を書いてください。
  • 「事業再建に向けた今後のプラン」は、既に記述した「今後のプラン」と重複するので、同内容のポイントを繰り返してください。
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補助事業計画

1.補助事業で行う事業名

  • ホームページの活用で地元の新鮮な魚を使った料理を周知する事業
補足
  • 申請書で唯一文字数制限があるのが、補助事業で行う事業名です。一文字でもオーバーすると採択に影響する可能性がります。必ず30文字以内になるようにしてください。

2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容

○補助事業の概要
  • 当社では、積極的な広告活動をほとんど行っていない。集客は、国道沿いに立地することや近隣に企業が多いことに依存している状況である。この状況を改善すべく、ホームページの活用により自社の強みやこだわり等を発信することで売上拡大を図るものである。
○これまでの自社・他社の取組と異なる点
  • 前述の通り、当社ではこれまで広告活動をほとんど行っていない。そのため、ホームページの開設や情報の発信は当社にとって新しい取組である。
  • 当社の競合他社では、ファミレスと回転寿司Aはホームページやチラシ等で広告を行っている。しかし、料理の質や味の良さの訴求はほとんど行われておらず、当社が補助事業で行う情報発信とは異なると考えられる。
○創意工夫した点・特徴
  • 当社ならではの強みが伝わるホームページとする。
  • 具体的には、専売契約している漁師を紹介する動画などを通じて、魚介類の新鮮さが伝わるようにする。また、主要な魚介類については、管理栄養士等の専門家が栄養価や健康効果を解説するコンテンツを用意する。
  • 現在、売上がもっとも多い日替わり弁当については、毎日写真付きでメニューの説明を更新する。
  • ホームページの開設にあわせて、SNS(TwitterやInstagram)やチャットアプリ(LINE公式アカウント)の運用もスタートする。こちらは主に既存顧客とのつながりを持つために利用する。当社では、その日の朝にとれた魚介類を仕入れていることもあり、日毎の発信テーマには困らないと考えている。
○補助事業の進め方について
  • ホームページの作成やポスティング用チラシの作成は外部企業とともにすすめる。いわゆる「丸投げ」とならないように、専務取締役の持続化清が担当となり積極的に意見交換をしていく。
  • スケジュールとしては、○月にホームページの方針決めやSNSのアカウント開設、○月に漁師や管理栄養士などが関係するコンテンツの作成、○月にホームページを公開とポスティングという流れを予定している。
  • ホームページ公開後の日替わり弁当の情報更新やSNSの運用は、当面は持続化清が担当する。徐々に社内でノウハウを共有して、他の従業員に任せていく予定である。
補足
  • 事務局の記入例の解説にある「何をどのような方法で行うか」「これまでの自社・他社の取組と異なる点」「創意工夫した点、特徴」を盛り込むようにしてください。
  • もちろん事業のスケジュールについても図や表で説明して構いません。

3.業務効率化(生産性向上)の取組内容

  • 当社では、平日ランチの時間帯は昼休み中に利用する顧客が多いこともあり、会計時の混雑解消が課題となっている。そこでタブレット型POSレジシステム及び各種キャッシュレス決済の導入によって、会計時の混雑緩和を図る。
  • タブレット型POSレジシステムの導入によって、期間別や商品別の売上分析も容易になり新たなメニュー開発にも寄与すると想定している。
補足
  • 該当する場合に避けるべきなのは、「業務効率化によって人件費を削減する」と書くことです。補助金の考え方から、単純に地域の雇用機会が減少する取組はふさわしくありません。結果的に従業員の労働時間短縮のメリットがある場合は、「子育てや介護中の従業員が働きやすくなる」等の記述がのぞましいです。
  • 基本的に業務効率化の項目は、効率化によって空いた時間で他の重要な業務ができるようになって売上が高まることを想定いると考えられます。
  • 本記入例ではタブレット型POSレジをあげていますが、ipad等のタブレット自体は補助事業以外にも汎用的に使えるので対象外です。レシートプリンター等は対象になります。詳細は公募要領に記載があります。
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4.補助事業の効果

○売上への効果
  • ホームページをきっかけとした新規の来店客数は○○名を見込む。また、高齢化の進展で減少していた常連客(月に1回以上来店する顧客)を○○名にすることを見込む。
  • 高単価メニューの注文増加により、前期と比較した客単価5%アップを見込む。
○取引先への効果
  • 当社の売上増加は仕入れ量の増加を意味するため、当社の主要仕入れ先である漁師の売上増加にも直結する。
○地域社会への効果
  • ホームページ活用を通じて当社の売上が増加することは、地元漁港でとれる魚介類の魅力が伝わることでもある。結果的に、○○市の水産業の振興に貢献できる。
補足
  • 売上への効果は、数字を使って具体的に記述してください。
  • 取引先への効果は、基本的には自社の売上アップの結果として、取引先にどのような効果があるかを記述してください。
  • 事務局の記入例には地域社会への言及があります。地域社会への効果も記述してください。

よくある質問

箇条書き中心で大丈夫なの?

大丈夫です。申請書で聞かれていることがきちんと書いてあれば形式は関係ありません。

このページの記入例で、小見出し+箇条書きの形式を利用しているのは、

  • 慣れていなくても書きやすい
  • 審査する側にとってもわかりやすい

と考えたからです。

文体に決まりはあるの?

ありません。「ですます調」でも「だである調」でも構いません。

コロナ特別対応型の記入例もありますか?

あります。下記のページからご覧ください。

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