【新型コロナ関連・静岡県版】県や市・町が実施する中小企業・個人事業主の支援策まとめ

静岡県と県内の市・町が独自に実施する新型コロナ関連の事業者向け支援策のまとめ。静岡県の事業者が利用できる実質無利子・無担保の融資制度、県独自の補助金、県内35市・町独自の支援策、各種制度の相談先などをご覧になれます。

融資

国連携新型コロナウイルス感染症特別貸付

「国連携新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、静岡県の事業者が利用できる融資制度です。

  • 上限4,000万円まで、融資後3年間は実質無利子になる
  • 元本の据置期間が最大5年間ある
  • 信用保証協会に支払う信用保証料の減免がある
  • 信用保証付き融資の既往債務の借換ができる

などの特徴があります。

国連携新型コロナウイルス感染症特別貸付は、静岡県・静岡県信用保証協会・県内の民間金融機関が連携する制度融資という仕組みが使われています。「国連携」とつく理由は、利子や信用保証料を静岡県と国が一緒に負担するからです。

イメージ図

それぞれの役割を整理すると下記の表の通りです。

静岡県の民間金融機関 融資をします。この制度を使いたい事業者の窓口となり、市区町村のセーフティネット保証制度の認定や都道府県への必要書類の提出などをサポートします。
静岡県信用保証協会 公的な保証人として、新型コロナの影響を受けている事業者にも民間金融機関が融資しやすくします。
静岡県・国 利子や信用保証料を支払うことで事業者の負担を軽くします。
市・町 「セーフティネット保証4号」「セーフティネット保証5号」「危機関連保証」の認定を行います。

いろいろな機関が関係して少しわかりにくいですが、事業者の最初の相談先は取引のある銀行や信用金庫です。セーフティネット保証等の制度について詳しく理解している必要はありません。

国連携新型コロナウイルス感染症特別貸付の詳細はこちら

セーフティネット保証等の認定は金融機関に相談してからでOK

国連携新型コロナウイルス感染症特別貸付の申込みには、売上減少率に応じて、セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証の認定を受ける必要があります。これらの認定は市・町が窓口です。

これから申込みをする事業者は、認定を受ける前に金融機関に相談をしてください。金融機関に手続きを支援してもらえます。

ワンストップ手続きのイメージ(経産省資料)

日本政策金融公庫との比較

政府系金融機関の日本政策金融公庫にも、国連携新型コロナウイルス感染症特別貸付と似た融資条件の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」があります。県内には静岡・浜松・沼津に支店があり、すべての市・町の事業者が利用できます。日本政策金融公庫の融資には静岡県は関係がありませんが、県内の事業者が融資を受ける際の有力な選択肢となるので合わせて紹介します。

イメージ図

それぞれの役割を整理すると下記の表の通りです。

日本政策金融公庫 融資をします。実質無利子の対象となる場合でも、日本政策金融公庫には一旦利子を支払います。
新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度事務局 中小企業基盤整備機構に設置される事務局 です。実質無利子の対象となる事業者が日本政策金融公庫に返済した利子分を事業者に助成します。
静岡県 日本政策金融公庫の融資には関係しません。
市・町 日本政策金融公庫の融資には関係しません。

事業者の相談・申込みは日本政策金融公庫に行います。実質無利子の対象となる場合は、新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度事務局に別途特別利子補給の申請を行います。なお、最初から静岡・浜松・沼津の支店に訪問する必要はありません。インターネットから申込み可能です。

日本政策金融公庫の新型コロナ融資の詳細はこちら


両方の融資制度を比較したのが次の表です。融資条件に大きな違いはありません。

国連携新型コロナウイルス感染症対応貸付 日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付
融資対象者
  • いずれかのセーフティネット保証制度の認定を受けられること
  • 基準期間より売上が5%以上減少していること
融資限度額 4,000万円 8,000万円(実質無利子となるのは4,000万円まで)
融資利率
  • 融資後3年間は0.00%(小規模な個人事業主以外で、セーフティネット保証5号のみ認定を受けられる場合は1.90%)
  • 4年目以降は1.90%
  • 融資後3年間は0.00%(※一定の売上減少要件を満たすとき)
  • 4年目以降は基準利率(1.36%~1.65%)。
融資期間 10年以内 設備資金は20年以内
運転資金は15年以内
据置機関 5年以内 5年以内
信用保証料 0.00~0.425%(セーフティネット保証制度により異なる) 日本政策金融公庫が直接融資するので信用保証料不要
既往債務の借換
取扱期間 令和2年5月1日~12月31日 取扱期間の定めなし(終了時期未定)
相談・申込みの窓口 静岡県の取扱金融機関 日本政策金融公庫

融資についての補足

小規模な事業者も申込みができる

個人事業主などの小規模な事業者も新型コロナ関連融資の申込みができます。一般的には、小規模な事業者は日本政策金融公庫の方が融資を受けやすい傾向があります。ただし、銀行や信用金庫の民間金融機関から融資を受けた経験がある場合は、そちらに相談してみましょう。

小規模な事業者が収入減少で困ったときにやってはいけないのが、手軽そうなカードローンなどを申し込んでしまうことです。利率などの融資条件は新型コロナ関連融資とは比べるまでもありません。

追加融資の相談ができる

既に新型コロナ関連融資の申込みをしていても、追加融資を受けられる可能性があります。資金繰り表を作成して、不安があるときは早めに相談してください。

条件が合えばマル経融資も検討する

商工会議所や商工会を通じて日本政策金融公庫に申込みをするマル経融資にも、融資後3年間は実質無利子などの新型コロナ枠といえる制度があります。

  • 現在マル経融資を利用していて追加融資を受けたい
  • 商工会議所や商工会に入会して6ヶ月以上経過している
  • 新型コロナ関連のマル経融資の限度額(1,000万円)で足りる

場合は検討しましょう。同じ日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付と比較しても、4年目からの金利は0.15%マル経融資の方が低いからです。

マル経融資を利用したいときは、商工会議所か商工会に相談してください。

新型コロナ関連のマル経融資の概要はこちら(日本政策金融公庫)

制度ごとの売上減少要件を確認するときは

下記のページから、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付、セーフティネット保証4号、セーフティネット保証5号、危機関連保証の売上減少要件を満たしているかを業歴ごとに確認できます。必要に応じてご利用ください。

補助金

静岡県が実施している補助金です。新型コロナウイルス感染症を踏まえた特別な措置があります。

小規模企業経営力向上事業費補助金

小規模企業経営力向上事業費補助金とは、「新たな需要の開拓」または「生産性の向上」を目指す取組みに対して最大50万円を補助する制度です。静岡県内の小規模事業者(※)が対象です。

静岡県の事業者支援策ですが、申請や相談先は最寄りの商工会議所や商工会です。もちろん会員ではない事業者も申請できます。

※小規模事業者に該当するかは常時雇用する従業員数で決まります。小売業・サービス業・卸売業は5名以下、製造業などその他の業種は20名以下なら対象です。なお、開業医や農家の方も対象になります。

対象 静岡県内の小規模事業者
補助上限額 50万円
補助率 3分の2
補助対象事業

1~3をすべて満たすもの

  1. 自社がこれまでに行ったことがないもの又は既存のものを大幅に改善するもの
  2. 新たな需要の開拓又は生産性の向上を目指して行うもの
  3. 経営革新計画(※)の承認取得を目指す3年間の経営ビジョンを策定した上で行うもの
補助対象経費 補助事業のために必要な経費いろいろ(かなり幅広い)
申請期間
  • 1次:令和2年4月10日~5月29日
  • 2次:令和2年6月15日~7月10日
  • 3次:令和2年8月3日~9月23日
相談先・申請先 最寄りの商工会議所・商工会(※会員でなくても申請可

※経営革新計画とは、中小企業や個人事業主が新しい事業活動に取り組み、「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する経営計画書です。静岡県が承認します。承認を取得すると様々なメリットがあります。経営革新計画の詳細はこちら

小規模企業経営力向上事業費補助金の詳細はこちら

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた措置

新型コロナウイルス感染症の影響で、令和2年2月以降の任意の1ヶ月の売上が前年同月と比較して10%以上減少している事業者に対して次の支援措置があります。

経営革新計画の承認取得済の事業者も申請できる

小規模企業経営力向上事業費補助金の特徴として、3年以内に経営革新計画(※)の承認取得を目指す必要がありした。そのため、既に経営革新計画を承認されている事業者は対象外でしたが、経営革新計画を承認されている事業者も申請できるようになりました。

概算払いが認められる場合がある

通常は、小規模企業経営力向上事業費補助金が支払われるのは2021年4月頃と少し先です。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている場合は概算払いが認められます。概算払いとは、採択決定後すぐに補助金が支払われるので資金計画が立てやすくなります。

さらに、売上50%以上減少なら採択されやすくなる

令和2年2月以降の任意の1ヶ月の売上が前年同月と比較して50%以上減少している場合は審査で加点されます。結果、採択されやすくなります。

小規模事業者持続化補助金との併用もおすすめ

小規模企業経営力向上事業費補助金とよく似た制度に、国の小規模事業者持続化補助金があります。

両方の制度の主なポイントを比較した表です。

小規模企業経営力向上事業費補助金 小規模事業者持続化補助金
対象者 小規模事業者
※開業医、農家なども対象
小規模事業者
※NPO法人も対象
補助上限額 50万円 150万円
※一部業種は200万円
補助率 3分の2 3分2 ~ 4分の3
補助対象経費 いろいろ いろいろ
※コロナ特別対応型という類型では一部制約あり
申請・相談 最寄りの商工会議所・商工会(※会員ではなくても申請・相談OK)

どちらかしか選べないわけではありません。補助対象経費が異なれば両方申請することができます。この場合、新たな挑戦に最大200万円(業種によっては250万円)の補助を受けられることになります。

例えば、

  • 静岡県の小規模企業経営力向上事業費補助金は、ウェブサイト作成に活用する
  • 国の持続化補助金は、テイクアウトやギフトに対応した新商品の開発に活用する

といったイメージです。

なお、小規模企業経営力向上事業費補助金の採択率は非公表ですが、国の持続化補助金よりも採択率は高いと思われます。

小規模企業経営力向上事業費補助金も持続化補助金も相談窓口は商工会議所・商工会で同じす。どのように補助金を活用したらいいのか相談してください。

▼持続化補助金については別のページで解説しました

経営革新補助金

経営革新補助金は、経営革新計画を受けている事業者が対象の制度です。新型コロナウイルス感染症に関連した追加措置として、令和2年2月以降の売上が前年同期比で10%以上減少している場合は加点されます。

対象 令和2年8月31日までに経営革新計画の承認を受けている事業者
補助上限額

事業区分によって異なります。

  • 新商品・新技術・新役務開発:500万円
  • 販路開拓:200万円
  • 生産性向上:150万円
補助率 2分の1
補助対象経費 事業区分ごとに異なるが幅広い
申請期間
  • 第1回:令和2年4月1日~4月17日
  • 第2回:令和2年8月24日~9月23日
相談先・申請先 静岡県産業振興財団

補助上限額が大きく、経営革新計画の実現に寄与する制度だと思います。なお、平成30年度~令和2年度第1回目までの採択率は約75%。補助額の大きさを考慮すると高めな印象です。

経営革新補助金の詳細はこちら

市や町ごとの支援策

静岡県内の市・町などが独自に実施している主な事業者支援策です(8月23日時点で申請可能な制度のみ)。

8月末・9月末が締切の制度が多数あります。事業所の所在地の市・町の制度を確認してください。

※この項目には、市や町によるセーフティネット保証の認定などすべての地域に共通する支援策は含まれていません。

中部地域

静岡市

西部地域

東部地域

賀茂地域

下田市

東伊豆町

静岡県の事業者向け相談窓口

静岡県内の事業者が利用できる新型コロナウイルス感染症関連の相談窓口です。いろいろ質問があってよくわからない!という事業者が全体的な相談ができるところと、土日も対応している窓口を掲載します。

全体的なこと

事業者向け支援策の全体的な相談や質問ができるのは、

です。国のパンフレットなどを読んでもよくわからないことがあるときは上記の窓口が適しています。

土日も対応している窓口

土日も対応している相談窓口は、

です。よろず支援拠点は全体的な相談、日本政策金融公庫は融資の相談に適しています。