浜松市3密対策補助金と持続化補助金事業再開枠の比較

新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を行った(これから行う)小規模事業者は、浜松市3密対策事業者支援事業費補助金と国の持続化補助金という制度を併用することで、より多くの補助を受けられる可能性があります。制度の比較や活用事例などを解説します。

※持続化補助金は、持続化給付金とは関係ありません。全く別の制度です。持続化給付金の給付を受けていても併用して利用できます。

浜松市3密対策事業者支援事業費補助金とは?

浜松市3密対策事業者支援事業費補助金は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の取組みに対して、浜松市が最大30万円(補助率2分の1)を補助する制度です。

補助率2分の1とは、例えば、ビニールシートの購入や換気扇の新設などに60万円かかったとすると、その2分の1の30万円が補助されるという意味です。

詳細は浜松市のホームページをご確認ください。

3密対策事業者支援事業補助金(浜松市)

持続化補助金と併用できる

新型コロナウイルス感染症の感染防止対策に補助があるのは浜松市3密対策事業者支援事業費補助金(以下、浜松市3密対策補助金といいます)だけではありません。国の小規模事業者持続化補助金(以下、持続化補助金といいます)の「事業再開枠」という制度でも感染防止対策のいろいろな取組みが補助対象になります。

対象となる小規模事業者(※)なら、浜松市3密対策補助金と持続化補助金を併用することでより多くの補助を受けられる可能性があります。

※小規模事業者に該当するかは業種と常時雇用する従業員数で決まります。商業・サービス業は従業員5名以下、サービス業のうち宿泊業・娯楽業及び製造業などその他の業種は従業員20名以下で対象となります。法人・個人事業主の区別や売上規模は影響しません。

浜松市3密対策補助金と持続化補助金の比較

浜松市3密対策補助金と持続化補助金を比較した表です。

比較項目が多いので重要なポイントを先に書くと、

  • 浜松市3密対策補助金は、申請が簡単で支払い時期が早い。しかし、補助額や補助率が小さめ。
  • 持続化補助金の事業再開枠は、申請が少し大変で支払い時期が遅い。しかし、補助額や補助率が大きい。
  • 同じ経費に重複して補助を受けることはできないが、経費が異なれば両方の制度に申請できる。

となります。

浜松市3密対策補助金 持続化補助金の事業再開枠
前提 感染防止対策だけで申請可。 あくでも持続化補助金のオプション。売上アップなどの取り組み+感染防止対策のセットで申請する必要がある。感染防止対策だけの申請は不可。
対象事業者 浜松市の定める事業者。主に3密が発生しやすい業種。診療所、幼稚園、社会福祉法人なども対象。 小規模事業者だけが対象。3密の発生しやすさなどの基準はなく製造業なども対象。診療所、幼稚園、社会福祉法人などは規模を問わず対象外。
補助上限額 30万円。 50万円。
※持続化補助金本体の交付決定額を超えない範囲。
補助率 2分の1(50%)。 10分の10(100%)。
補助対象 浜松市の指定する3密対策になる経費いろいろ。 業種別ガイドライン に基づく経費いろいろ。
いつ支払った経費が対象か? 1月6日~8月31日に支払いが完了した経費が対象。 5月14日~補助事業完了報告までに支払いが完了した経費が対象。
申請期間 6月9日~8月31日。 次回は8月7日が締め切り(コロナ特別対応型)。以降も何度か申請機会がある。
支払い時期 最短で申請から2週間後。 申請額の50%分は採択決定後すぐ。採択決定時期は、概ね申請締め切りの45日後。残りは補助事業の終了報告完了後。
審査 書類に不備がなければ申請するすべての事業者に支払いがされると思われる。 審査がある。前回の採択率は80~90%(タイプによる)で不採択になると補助されない。
申請の大変さ 決まった書類を用意するだけなので割と簡単。 浜松市3密対策補助金と比べると大変。採択後も報告の書類提出などが必要。
問合せ先 浜松市 最寄りの商工会議所や商工会。※会員でなくてもOK。

そもそも持続化補助金とは?

持続化補助金とは、小規模事業者が売上アップのために行う新しい取組みに対して最大50万円または100万円を支援する国の制度です。感染防止対策の補助だけを目的としたものではありません。

5月22日から、持続化補助金の中に感染防止対策の取り組みについて最大50万円(補助率10分の10)を補助する事業再開枠というオプションが追加されました。申請するときに事業再開枠を一緒に申請することで感染防止対策についても、持続化補助金の交付決定額を超えない範囲で補助を受けられます。事業再開枠だけの申請はできません。

持続化補助金のポイントがA4×2枚でわかるPDF(中小機構)

補助対象の違い

浜松市3密対策補助金と持続化補助金の事業再開枠の補助対象は重複しているものが多いです。しかし、それぞれの補助金だけで対象になる経費もあります。主なものは次の通りです。

浜松市3密対策補助金「だけで」補助対象になる経費

  • キャッシュレス決済、注文用タッチパネルなどで使うタブレット
  • オンライン授業で使うパソコン・タブレット・配信用カメラ
  • 窓や網戸の設置、テラスの増床

持続化補助金の事業再開枠「だけで」補助対象になる経費

  • 消毒設備の購入費、消毒作業の外注費、消毒液・アルコール液の購入費
  • 使い捨てのマスク・手袋・ヘアネット・顧客用のアメニティなど

※持続化補助金の事業再開枠は、補助対象が追加・変更される可能性があります。近日中に新しい内容は持続化補助金事務局のホームページに公開される予定です。(6月11日16時時点)

どちらも換気設備や飛沫対策などのまとまったお金がかかりやすい経費は同じように対象になります。

浜松市3密対策補助金の補助対象の特徴は、キャッシュレス決済導入等で必要なるタブレット本体も補助対象になることです。持続化補助金も含めて、一般的な補助金ではタブレットのような汎用的に使える機器は補助対象になりません。

持続化補助金の事業再開枠の補助対象の特徴は、消耗品に相当する経費も補助対象になることです。浜松市3密対策補助金では、使い捨てマスクや消毒液などは補助対象になりません。

浜松市3密対策補助金と持続化補助金の併用イメージ

スペイン料理のパエリア食堂さん(※架空のお店)を例に、浜松市3密対策補助金と持続化補助金の併用イメージを解説します。

パエリア食堂のやりたいこと

新型コロナのせいで3月から売上が急減したパエリア食堂。浜松市から休業要請の協力金はもらいましたがすずめの涙です…。難局を乗り越えるべく、テイクアウト販売を強化するために、新しい商品の開発や注文を受けられるホームページへのリニューアルをしたいと思っています。

また、来店するお客様のための感染防止対策として、キャッシュレス決済とタッチパネル注文の導入、換気扇の新設と最新型空気清浄機の設置も予定しています。店舗ではこれまでよりもマスクや消毒液などをたくさん使うことになりそうです。

かかる費用

計算してみると、パエリア食堂がやりたいことにかかる費用は、

  • 新しい商品の開発やホームページのリニューアル→67万円
  • キャッシュレス決済やタッチパネル注文の導入→30万円
  • 換気扇の新設や空気清浄機の設置、マスクなどの消耗品の購入→50万円

となりました。合計で147万円。新型コロナウイルス感染症の影響で売上が減少しているお店にとって大変な出費です。

補助金を活用すると

ここで浜松市3密対策補助金と持続化補助金を活用するととどうなるのでしょうか?今回のスペイン料理パエリア食堂さんの場合をまとめたものが次の表です。

かかる費用 活用する補助金 自己負担額
新商品の開発やホームページのリニューアル 67万円 持続化補助金のコロナ特別対応型を活用。67万円×補助率4分の3=50万円の補助を受けられる 17万円
キャッシュレス導入やタッチパネル注文 30万円 浜松市3密対策補助金を活用。30万円×補助率2分の1=15万円が補助を受けられる。 15万円
換気扇の新設や空気清浄機の設置、マスクなどの消耗品の購入 50万円 持続化補助金の事業再開枠を活用。50万円×補助率10分の10=50万円の補助を受けられる。 0円

パエリア食堂の計画の場合、147万円の費用のうち、115万円の補助を受けることができて、自己負担は32万円になります。補助金は後払いなので、事前の資金計画は必要です。それでも、やりたいことへの挑戦が現実的な選択肢になります。

※補助金には審査があります。もちろん審査に落ちると補助されません。特に持続化補助金は前回の採択率が80%~90%でした。10者に1者~2者は不採択だったということです。申請を検討する場合は、商工会議所や商工会に早めに相談(後述)して、しっかり準備することが重要です。

補助金の考え方

個人的には補助金がある「から」と、補助金の制度に合わせて意思決定をするのは反対です。しかし、新たな経営環境に対応するため「やろうとしていること」に制度が当てはまるなら活用すべきです。

上の例のように小規模事業者にとって無視できない金額の補助を受けられる可能性があります。その分は、さらなる将来への投資、商品やサービスの品質向上、従業員への還元など、いろいろな使いみちができます。

(補足)持続化補助金の事業再開枠だけ申請した方が有利な場合

  • 持続化補助金を活用したい売上アップに関連したアイデアがある
  • 浜松市3密対策補助金でしか対象にならない感染防止対策の経費はない
  • 持続化補助金の事業再開枠の金額だけで補助額が足りる

のすべてに当てはまるときは、浜松市3密対策補助金には申請せず持続化補助金の事業再開枠だけに申請した方が補助額としては有利です。

感染防止対策に50万円かかった場合なら、

  • 浜松市3密対策補助金:50万円×補助率2分の1=25万円の補助
  • 持続化補助金の事業再開枠:50万円×補助率10分の10=50万円の補助

となるからです。

ただし、このパターンは持続化補助金が不採択になってしまうとどちらかも補助を受けられないというリスクがあります。

持続化補助金は商工会議所や商工会が窓口

国の持続化補助金は、商工会議所や商工会が申請・相談の窓口です。浜松市ではありません。事業所のある地域によって商工会議所と商工会のどちらの管轄になるか決まっています。

浜松市内の管轄地域は次の表の通りです。商工会議所や商工会の会員でなくても相談できます。

管轄地域
浜松商工会議所 他の商工会管轄地域以外のすべて
浜北商工会 旧浜北市
浜名商工会 可美・篠原・庄内・舞阪・雄踏
奥浜名湖商工会 旧引佐郡
天竜商工会 旧天竜市

※浜松市3密対策補助金と持続化補助金を併用するメリットがあるのか?などの相談も商工会議所や商工会が適しています。持続化補助金は浜松市の制度ではなく、制度自体も少し複雑です。浜松市のコールセンターで制度を理解して回答するのは困難だと思います。

持続化補助金について理解するには

持続化補助金は、上で書いた通り商工会議所と商工会が窓口です。窓口が異なる関係で、ホームページも商工会議所の管轄地域と商工会の管轄地域に分かれています。さらに、持続化補助金自体が「一般型」と「コロナ特別対応型」に分かれていて、別々のホームページになっています。

ちょっとわかりにくいので、最初は持続化補助金の概要がわかるリーフレット 申請に関するQ&A を読んで全体像を理解することをおすすめします。それから対象となる事務局のホームページを確認してください。

▼当サイトのサイトの解説はこちら 商工会議所管轄地域 ホームページ 商工会管轄地域 ホームページ