
10月30日に発表されたコロナ特別対応型(第3回受付締切分)の採択率は約34.0%でした。過去2回の採択率(80%超)と比較すると大きく低下しました。なぜ採択率が低下したのか?次回以降の採択率はどうなるのか?を解説しました。
コロナ特別対応型 採択率34.0%の解釈
採択率が低下した理由は申請件数が増加したから
補助金の採択件数には上限があります。たくさん申請があっても、その分だけ採択を増やすわけにはいきません。つまり採択率は申請件数が多いと低下します。
コロナ特別対応型(第3回受付締切分)の申請件数の37,302件でした。これは事務局の想定よりもずっと多かったと思われます。採択できる件数には上限があるので、結果的に採択率が低下した可能性が高いです。審査基準の変化や特定の補助事業が優遇されているということはないでしょう。仮に審査基準に大きな変更があった場合は、公募要領の審査の観点などが更新されるはずです。しかし変更はありませんした。
採択件数の上限は予算の都合で決まる
採択件数の上限は予算の都合で決まります。コロナ特別対応型が含まれる「特別枠」の予算は、他の補助金(ものづくり補助金とIT導入補助金)とあわせて1,700億円です。
700億円の予算に対して、10月30日までに発表されていた特別枠の件数は次の通りです。
- 持続化補助金 25,325件
- IT導入補助金 12,070件
- ものづくり補助金 2,849件
個々の採択額は不明ですが、件数から想像すると、すでにかなりの予算を消化していたと考えられます。よって、持続化補助金の特別枠も申請件数が大きく増えれば採択率が低下することは予想できました。
※700億円が、ものづくり補助金・IT導入補助金・持続化補助金でどのように配分されるのかは公表されていません。
次回以降の採択率はどうなるか?
予算が増えない限り、採択件数が大きく増える可能性は低いです。コロナ特別対応型の第4回目・第5回目も申請件数が第3回締切分のような水準なら採択率は厳しいものになるでしょう。
ご存知のように持続化補助金には一般型もあります。一般型の予算は、他の補助金(ものづくり補助金とIT導入補助金)とあわせて1200億円です。予算が多い分、一般型の方がコロナ特別対応型よりも高めになるかもしれません。
取り組みたい補助事業が、
- 一般型の公募要領も申請要件も満たしている
- 一般型の補助上限額でも許容できる
なら、一般型の第4回受付締切分にも申請することを検討することをおすすめします。
今年度に申請できる持続化補助金は、コロナ特別対応型(第5回受付締切分)と一般型(第4回受付締切分)があります。残りの持続化補助金に採択される可能性をできるだけ高める方法を解説します。 このページは コロナ特別対応型(第3 …
【追記】第4回・第5回目の採択件数は合計で24,382件かも?
11月9日の経済財政諮問会議の資料に、これまでの持続化補助金などの採択額がわかる資料がありました。この資料の数字から予測すると、コロナ特別対応型の第4回・第5回の採択件数は合計で24,382件になる可能性があります。※限られた数字からの予測です。あくまでも参考としてご覧ください。
採択額 | 採択件数 | 1社あたり採択額 | 採択額の割合 | 事務費など | 残りの採択予想額 | 残りの採択予想件数 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
持続化補助金 | 413億円 | 38,000件 | 108万円 | 45.5% | 49億円 | 312億円 | 24,382件 |
ものづくり補助金 | 245億円 | 省略 | 省略 | 27.0% | 省略 | 省略 | 省略 |
IT導入補助金 | 249億円 | 省略 | 省略 | 27.5% | 省略 | 省略 | 省略 |
出典
前提・計算方法
- 各補補助金の残りの採択額は現時点と同じ比率のままと仮定
- 事業再開枠は一般型にもあり、その予算は1,700億円の枠に含まれる。しかし、資料では配分が不明なので1,700億円すべてが特別枠に使われると仮定
- 現時点の採択額には、事業再開枠の未反映分がある可能性が高そう。よって、第4回・第5回の1件あたり採択額は多めの128万円として計算
- 事務費は行政レビューシート(小規模事業者支援パッケージ事業)より、申請1件あたりのコストを約45,000円として計算(一般型との重複もあり、もっと少ない可能性あり)
わかること
- 各回の採択件数は約12,000件となり第3回と同じくらい。申請件数次第で、再び採択率30%台になる可能性が十分にある
- 第4回目の結果待ちで、少しでも採択率を高めたいなら12月10日の締切分に申請できるように準備した方がいい