中小企業等事業継続強化事業補助金

【新型コロナ関連】静岡市の中小企業等事業継続強化事業補助金について解説しました。感染防止対策に最大100万円の補助を受けられます。制度のポイント、おすすめのBCPの様式、事業計画書の記入例などをご覧になれます。

中小企業等事業継続強化事業補助金とは?

感染症に対応したBCP等に基づいて感染防止対策設備の設置や店舗の改修を行う事業者に最大100万円を補助する制度です。

補助対象者 静岡市内に事業所を有する中小企業および小規模事業者
事業協同組合および企業組合
※業種などの制限はありません。多くの事業者が対象になります。
補助限度額/th> 100万円
補助率 2分の1(小規模事業者は3分の2)
※感染防止対策に150万円かかったなら、150万円×3分の2=100万円が補助されるイメージです。
補助対象経費 ・BCP等の策定などで専門家に支払った報酬
・BCP等に基づく新型コロナウイルス感染症感染防止対策経費 ※消毒用・飛沫感染防止用・換気用設備の導入経費、店舗のレイアウト変更や個室化に要する経費などいろいろ対象になります。
申請期限 予算に達するまで。交付決定後の実績報告書類は2021年1月29日まで。

※すべて11月29日時点。最新の情報は静岡市のページからご確認ください。

制度のポイント

BCP等の提出が必要

中小企業等事業継続強化事業補助金に申請するには、新型コロナウイルス感染症に対応したBCP等の提出が必要です。BCP(Business Continuity Plan)とは、ざっくりいえば「有事のときも事業を継続するための計画」という意味です。

難しそうですが、中小企業や個人事業主がBCPを作成することは経営上大きな意味があります。また、今回の補助金に求められるBCPの作成はそれほど難しくありません(※BCPの作成については後述)。

単純に感染防止対策に対する補助金ではないのは、中長期的に事業を継続する意思があり、感染症も含む今後の発生する可能性がある様々なリスクに対して具体的な計画を有する事業者を重点的に支援したい意図があると考えられます。

専門家の意見書が必要

中小企業等事業継続強化事業補助金の実績報告をする際は、必ず専門家の意見書が必要です。これはBCPの内容や妥当性を、BCPの知見がある専門家がチェックするものです。身近に心当たりのある専門家がいないときは、静岡市中小企業支援センター(BNEST)に相談してください。中小企業診断士などの支援を受けられます。

補助対象経費が広い

中小企業等事業継続強化事業補助金はエアコンや店舗の個室化なども対象になります。これらは、補助対象が類似している持続化補助金やものづくり補助金の事業再開枠という制度では対象になりません。

補助対象になる経費の詳細は、補助金交付要綱の別表(第5条関係)から確認できます。

既に支払った経費も対象

中小企業等事業継続強化事業補助金は2020年5月14日以降に支出した経費が対象になります。要件にあてはまる場合、申請書類の準備をすれば今からでも最大100万円の補助を受けられる可能性があります。補助を受けることができれば資金繰りがかなり楽になるでしょう。

申請受付は予算に達するまでの先着順

中小企業等事業継続強化事業補助金の案内には「予算に達し次第受付を終了します」と記載されています。一般的な補助金のように明確な受付期限が決まっているわけではありません。なお、予算は3億円です(静岡市9月補正予算案より)。仮にすべての事業者が100万円で申請すると300社分で終了します。早めの申請がおすすめです。

※ただし実績報告書類等の提出期限は2021年1月29日と決まっています。この期限を踏まえると、実質的には年内に申請するのが望ましいでしょう。

BCP作成のガイドライン

これまでにBCPを作成したことがなく、中小企業等事業継続強化事業補助金に申請したい事業者がどのようにBCPを作成すれがいいのか?を解説します。

おすすめの様式は事業継続力強化計画

まず、静岡市に提出する必要があるBCP等の様式は自由です。ただし、ゼロから自社で作成するのは難易度が高いです。また、今回は中小企業等事業継続強化事業補助金で行い補助事業についてBCPのなかで言及する必要があります。

それを踏まえると、もっとも作成しやすいのが国の認定制度である事業継続力強化計画の様式です。

この様式で作成することで、静岡市の中小企業等事業継続強化事業補助金に提出するだけなく、国の事業継続力強化計画の認定申請にも使えるメリットもあります。

具体的には、事業継続力強化計画の申請様式の「事業継続力強化に資する設備、機器及び装置の導入」の項目に中小企業等事業継続強化事業補助金で行いたい取り組みを記入、「事業活動を継続するための資金の調達手段の確保」の項目に、静岡市の補助金を活用予定であることを記入しましょう。これで中小企業等事業継続強化事業補助金の要件を満たせると思われます。

事業継続力強化計画の詳細や様式のダウンロードはこちら

まずは自社で検討してみよう

中小企業等事業継続強化事業補助金は、BCPを作成にあたり専門家の支援を受ける際の費用も補助対象になります。しかし、最初から「丸投げ」のような依頼をすることはおすすめできません。それでは絵に描いた餅になってしまい本来のBCPの意味がないからです。

まずは事業継続力強化計画のページにある策定の手引きの手引を見ながら自社で内容を検討してみましょう。

様式3(事業計画書)の記入例

申請時に必要な書類のうち、様式3(事業計画書)の記入例です。駅前にある肉バルをモデルにしたものです。

1.補助事業を実施する所在地及び事業所名

所在地:静岡県静岡市葵区○○町1-1-1
事業所名:低温調理の肉バルあおい

記載の通り、所在地と事業所名を書きます。

2.補助事業の内容

現況

現在の事業内容・事業の特色

○○駅前で真空低温調理をした肉料理及び酒類を提供している。真空低温調理の肉類を提供している飲食店は静岡市内では少ない。他の調理法よりもヘルシーで肉本来の美味しさを味わえることが顧客に支持されている。

最近の業況

新型コロナウイルス感染症の影響で来店客が大きく減少した。テイクアウト販売をはじめたものの減少分を補うには至っていない。結果、2020年4月~9月の売上は前年同期比でマイナス35.2%となっている。

中小企業等事業継続強化事業補助金は事業性がそのまま評価されるわけではありません。できるだけ端的に記入しまそう。特色は強みと置き換えて考えてOKです。業況については前年比較などの数字を使えるとわかりやすいです。

課題

当店は飲酒をする顧客やグループで来店する顧客が多い。国立感染症研究所の調査では、クラスターが発生した飲酒を伴う飲食店の感染経路は「客から客」が中心であると示されている。よって、新型コロナウイルス感染症については、顧客間の感染を防止する対策を行うことが課題となる。

参考:いわゆる「飲み会」における集団感染事例について(国立感染症研究所,2020)

少しわかりにく項目です。感染防止の観点から、どんな課題があるかを記載します。「事業の特性上、このような場面で感染リスクが高まるため、それに対する対策が課題となる」という流れで記載すると書きやすいと思います。この課題に対する解決策として補助金を活用することになります。課題の根拠になる出典があるときは、出典元も明記してください。

事業内容

上記の課題を解決するために次の事業を行う

  • 感染症だけでなく地震や台風などの自然災害も想定したBCPを策定する。策定にあたり専門家の支援を受ける。
  • 客席に仕切用のアクリル板、店内入口に密接を避けるフロアマーカー及び非接触の消毒設備を設置する。
  • 店内全体の換気を促進するために、換気性能に優れたエアコンを導入する
  • 店内の約半分のスペースは改修工事を行い半個室とする

中小企業等事業継続強化事業補助金で申請したいことを端的に記入してください。

3.補助事業の目標等

BCPを策定することで有事の際に的確な対応をとれるようにする。それにより事業継続、または早期の事業復旧を実現することが目標である。

BCPに基づく感染防止対策により、新しい生活様式のもとで安心して来店してもらえる店作りを目指す。それにより地域の人々の外食ニーズの対応、ひいては新しい生活様式での食文化の醸成に貢献することが目標である。

BCPを策定すること自体の目標と、BCPに基づく感染防止対策を行う目標の2つに分けて記載すると書きやすいでしょう。

4.実施スケジュール

  • 2020年12月 BCP策定、専門家への報償費支払い
  • 2020年12月 半個室化及びエアコン新設のための工事打ち合わせ
  • 2021年1月 アクリル板・フロアマーカー・非接触の消毒設備の設置、購入費の支払い
  • 2021年1月 半個室化及びエアコン新設の実施、工事費・購入費の支払い

端的にスケジュールを記載します。2020年5月14日以降に既に実施済みの場合は過去の月を書きましょう。