IT導入補助金をわかりやすく解説

IT導入補助金(2020年 / 令和2年)をわかりやすく解説しました。新型コロナウイルス感染症の事業者支援策でIT導入補助金のことを初めて知った方を想定して、最初に理解しておきたいポイントなどをまとめました。(※後日コンテンツの追加・修正予定)

【ざっくり】IT導入補助金の最初に知っておきたい10項目

IT導入補助金は、上手に活用できれば自社のIT化に伴う費用負担を軽減できる制度です。しかし、制度は少し複雑。最近IT導入補助金のことを知って興味がある事業者が最初に理解しておきたい10項目を解説します。

1.そもそもIT導入補助金ってなに?

中小企業などが自社の課題解決に適したITツールを導入するときに補助を受けられる制度です。IT化を促進して生産性を高めることを目的としています。ここでいうITツールは、企業の生産性向上に役立つソフトウェアなどのことをいいます。

2.対象となるのは誰なの?

IT導入補助金の対象となる事業者の範囲はかなり広いです。ほとんどの業種の中小企業・個人事業主・診療所・医療法人・NPO法人・その他いろいろな団体の事業者が含まれます。

3.いくら補助されるの?

補助額は最大で450万円、補助率は最大で4分の3です。例えば、ITツールを導入する際に600万円の費用がかかるなら、その4分の3に相当する450万円が補助されるイメージです。

4.申請したら必ずもらえるの?

補助金には審査があります。申請すれば必ずもらえるわけではありません。採択率は公表されていません。また、補助金が支払われるのは、ITツールの導入が終わってから事務局に事業報告をした後です。つまり立て替え払いをする必要があります。

5.どんなITツールでも導入できるの?

どんなITツールでも選べるわけではありません。IT導入支援事業者というITサービスを提供している企業が、IT導入補助金の事務局に登録しているITツールだけが補助対象です。

6.Amazonで買ったソフトも対象になるの?

AmazonはIT導入支援事業者として登録されていないのでなりません(5月27日時点)。ただし、2019年はIT導入支援事業者として登録されていました。今後、対象になる可能性はあります。

【参考】AmazonのIT導入補助金のページはこちら

7.対象になるITツールはどうやって探すの?

IT導入補助金ホームページの「IT導入支援事業者・ITツール検索」から探せます。

そのため、「導入を希望しているソフトウェア名や分野の名前+IT導入補助金」などのきーわーどでGoogle検索するか、IT導入支援事業者の一覧のPDFから調べることになります。

8.パソコンやタブレットの購入にも使えるの?

使えません。ただし特別枠のC類型のみレンタルならできます。IT導入補助金の考え方として、「ソフトウェアの導入による生産性向上」があるのでハードウェアの購入は補助対象外になります。

9.ホームページ作成に使えるの?

使えません。ただし特別枠のC類型のみECサイトの構築は対象になります。

10.申請期限はどうなっているの?

IT導入補助金のスケジュールから今後の締め切りを確認できます。2020年は6月12日、6月26日、7月10日の締め切りが決まっています。

【新型コロナ関連】IT導入補助金の特別枠について

新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、2020年のIT導入補助金は通常枠のA類型とB類型に加えて、特別枠としてC類型が追加されました。特別枠のC類型には、C類型-1とC類型-2があります。類型とは、IT導入補助金内のパターンの違いのことです。

まとめると2020年のIT導入補助金は全部で4類型になります。ポイントを比較したのが次の表です。ざっくりいえば特別枠のC類型は、通常枠のA類型やB類型よりも好条件です。

類型ごとの比較

通常枠 特別枠
A類型 B類型 C類型-1 C類型-2
補助額 30万円以上150万円未満 150万円以上450万円以内 30万円以上450万円以内 30万円~450万円
補助率 2分の1 2分の1 3分の2 4分の3
業務プロセス(※1)の数 1つ以上 4つ以上 1つ以上 1つ以上
甲乙丙のITツール要件(※2) なし なし 補助対象経費全体の6分の1以上が「甲:サプライチェーンの毀損への対応」に関係すること 補助対象経費全体の6分の1以上が「乙:非対面型ビジネスモデルへの転換」「丙:テレワーク環境の整備」のどちらか1つ以上に関係すること
ハードウェアのレンタル 不可 不可
賃上げ目標(※3) 加点 必須 申請額が150万円未満は加点、150万円以上は必須 申請額が300万円未満は加点、300万円以上は必須
遡及申請 不可 不可 4月7日以降の事業は対象になる場合あり 4月7日以降の事業は対象になる場合あり

※1 業務プロセスとは?

業務プロセスとは、次の表の「大分類I ソフトウェア(業務プロセス)」の「小分類1~6」のことです。

大分類Ⅰソフトウェア
(業務プロセス)
大分類Ⅱソフトウェア
(オプション)
大分類Ⅲ役務
(付帯サービス)
小分類
  1. 顧客対応・販売支援
  2. 決済・債権債務・資金回収管理
  3. 調達・供給・在庫・物流
  4. 業種固有プロセス
  5. 会計・財務・資産・経営
  6. 総務・人事・給与・労務・教育訓練・テレワーク基盤 (※テレワーク基盤はC類型のみ対象)
  • 自動化・分析ツール
  • 汎用ツール(テレワーク環境の整備に資するツール含む)
  • 機能拡張
  • データ連携ツール
  • セキュリティ
  • 導入コンサルティング
  • 導入設定・マニュアル作成・導入研修
  • 保守サポート
  • ハードウェアレンタル(※C類型のみ対象)

「A類型」「C類型-1」「C類型-2」は業務プロセスの1つ以上を担うITツール、「B類型」は4つ以上を担うITツールを選択する必要があります。申請区分の例などの詳細は、IT導入補助金公式サイトの下記のページから確認できます。

※2 甲乙丙のITツール要件とは?

C類型では導入するITツールの機能に一定の決まりがあります。具体的には、補助対象経費の6分の1以上が、次の甲乙丙のいずれかにあてはまることが必要です。

  • 甲:サプライチェーンの毀損への対応(顧客への製品供給を継続するために必要な設備投資や製品開発を行うこと)
  • 乙:非対面型ビジネスモデルへの転換(非対面・遠隔でサービス提供するためのビジネスモデルへ転換するための設備・システム投資を行うこと)
  • 丙:テレワーク環境の整備(従業員がテレワークを実践できるような環境を整備すること)

※3 賃上げ目標とは?

簡単にいえばIT導入補助金を申請するときに従業員の給料アップを約束することです。類型によって必須の場合と加点の場合があります。

必須の場合は給料アップの約束をしないと申請自体ができない、加点の場合は給料アップの約束をすると採択に有利になります。

類型の判別チャート

IT導入補助金のどの類型にあてはまるかを簡易的に確認できるチャートです。クリックで拡大します。

IT導入補助金の判別チャート

IT導入補助金のメリット・デメリット

メリット

補助金がもらえること

当たり前ですが、ITツール導入コストのうち2分1(50%)~4分の3(75%)が補助されることです。自社の課題解決や生産性向上に貢献するITツールを導入できるなら、とてもメリットが大きい制度です。

デメリット

検討が不十分になる可能性があること

ITツールは万能ではありません。自社の課題解決や生産性向上につながるITツールを選定する必要があります。さらに、効果的に活用するための準備や試行錯誤も必要です。

「補助金があるから」という理由で、IT導入補助金の対象となるITツールにこだわったり、申請期限に合わせて無理な意思決定をするのはおすすめできません。懸念点があるときは補助金の利用を見送るのも一つの選択肢です。

※IT導入補助金は、IT導入支援事業者側からみれば「自社のITツールの販売価格の2分1(50%)~4分の3(75%)を国が補助してくれる制度」です。あまりにも「補助金で安く導入できること」ばかり強調してくるIT導入支援事業者は注意した方がいいかもしれません。

いろいろな手間がかかること

IT導入補助金は、採択が決まりITツール後も、数年にわたり事務局への事業成果の報告などの義務があります。「ITツールの導入にお金をもらって終わり」ではありません。いろいろな手間がかかります。